丸亀城

「丸亀城」（まるがめじょう）は、標高約66mの地にある平山城で、別名は「亀山城」。「丸亀城」の石垣は、日本一の高さを誇ることから、通称「石垣の名城」として全国的にも有名で、「日本の100名城」にも選ばれています。

「織田信長」の「安土城」や「豊臣秀吉」の「大坂城」を参考に築城。お城だけではなく城下町や武家屋敷をも土塁で囲む総構も特徴的な近代城郭です。

「丸亀城」の敷地内には、国指定重要文化財である天守や、築城当時に正午を知らせていた「時太鼓」、敵を防御するために造られた石落としなどが見られる「大手一の門」、及び高麗門（こうらいもん）形式の門としてその美しさが評価されている「大手二の門」があり、見どころのひとつとなっています。

「現存十二天守」としても有名な三層三階の天守は、全国で残っている十二天守の中でも最小の木造天守。唐破風（からはふ）や北側に見える石落とし、素木で造られた格子などには、意匠が凝らされています。

その他、県指定有形文化財の「玄関先御門」も、江戸時代に建てられたもので、京極氏の屋敷に通ずる表門であったとされ、貴重な現存木造建造物のひとつです。毎年4月頃には、城内にある約700本のソメイヨシノやヤマザクラなどの桜が満開となり、大勢の花見客で賑わっています。

「丸亀城」には、最も築城技術が高度に発達していたとされる時代に築かれた石垣が多数遺されています。そのため、城内で様々な種類の石垣を鑑賞することが可能です。例えば、「丸亀城」の正面玄関である「大手枡形」では、「切り込みハギ」を用いた精巧な石垣の他、2m超の大きな「鏡石」を見ることができます。また、三の丸にある高さ20m以上の「高石垣」（たかいしがき）は、「算木積み」（さんぎづみ）によって造られており、「扇の勾配」と形容される美しい急勾配は必見です。

その他、城内で最も美しいと評される石垣は、城跡の南側にある「栃の木御門」周辺にあり、特に、間詰め石が施された三の丸の石垣は見逃せません。また、お城の南東側にある山麓に足を伸ばせば、自然石をそのまま積み上げた「野面積み」（のづらづみ）の石垣が広がっています。

なお、「丸亀城」の石垣の中で、保護するために築かれた、本丸の西側にある「ハバキ石垣」や二の丸の南側にある石垣。石垣には拡張箇所が見られます。なお、「丸亀城」の石垣の大半は、適切な形や大きさに割った加工石を用いる「打ち込みハギ」という工法。そのため、石を割るときに付いた矢穴の跡がある石や、ノミで加工した跡が残る石、「△」などの刻印がある石があります。

「丸亀城」は、1597年（慶長2年）より5年の月日をかけ、当時讃岐国を治めていた「生駒親正」（いこまちかまさ）、「生駒一正」（いこまかずまさ）の父子によって築城。1602年（慶長7年）には、「生駒一正」が「丸亀城」から「高松城」へ移ったため、「丸亀城」には城主が留守の間に城代（じょうだい）が置かれました。

1615年（元和元年）になると、「一国一城令」が江戸幕府により制定されたため、「丸亀城」は一旦廃城へ。1640年（寛永17年）には、生駒氏は所領を没収され、伊予大洲藩主であった加藤氏が城跡地を預かることとなります。

1642年（寛永19年）には、西讃岐5万石程を治めていた領主「山崎家治」（やまざきいえはる）が、「丸亀城」の再建場所を生駒氏の城跡地に決定。翌1643年（寛永20年）には、幕府から銀300貫の財政支援を受け、「丸亀城」の再建築に取り掛かりました。

その後、1657年（明暦3年）には山崎氏の家系が途絶えたため、翌1658年（万治元年）に「京極高和」（きょうごくたかかず）が丸亀藩主となります。1660年（万治3年）には、「丸亀城」の天守が完成。その後、城内屋敷の建設などが行なわれ、京極氏による統治が続きました。しかし、1869年（明治2年）の版籍奉還により、「丸亀城」は陸軍省の所轄に。その後、1876〜1877年（明治9〜10年）の間に城内の櫓が取り壊されたと言われています。